スポンサーリンク

【障害者雇用促進法】職場での合理的配慮とは 具体例も紹介!

スポンサーリンク
[広告]
障害者雇用のQ&A

「合理的配慮」という言葉を聞いたことはありますか?障害者雇用について調べ始めると必ず登場する単語ですが、意外とその詳しい意味を調べる機会はないかもしれません。

以前こちらの記事でも触れた通り、障害者雇用の最大のメリットは、働く上で合理的配慮を得られることです。

しかし、障害者雇用で転職活動をする人の中には、そもそも合理的配慮のことを知らなかったり、あるいはこれまでの職場ではうまく配慮を受けられなかった…というケースもあるようです。

そこで今回は、合理的配慮について具体例も交えて紹介した上で、実際に職場で合理的配慮を受けるにはどうしたら良いか、順番にご紹介していきますね。

✔️この記事でわかること

・合理的配慮って?本当に配慮してもらえるの?
・合理的配慮とわがままの違いって?
・合理的配慮を実施してもらうには、どうすればいいの?

キャリアアドバイザー歴10年のくまくんがガイドします!

職場での合理的配慮とは

そもそも合理的配慮とは

合理的配慮とは、簡単に言うと「障害のある方にとっての日常生活や社会生活上での困難さを、周囲のサポートや環境調整によって軽減する」ための配慮のことです。

「合理的配慮」とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。

引用元:外務省「障害者の権利に関する条約 第二条

障害者雇用促進法」では、障害を理由にした差別は禁止されており、企業側には、対応可能な範囲での合理的配慮の提供が義務付けられています。

そのため、障害者雇用で勤務する際には、業務を円滑に進めるため、あなたの症状や障害特性に合わせた個別の配慮を受けることが可能です。

とは言え、「対応可能な範囲での」とある通り、どんな希望でも全て叶う、というわけではありません。合理的配慮とわがままは違うので、具体例も参考にしながら、あなたの場合にはどんな配慮があれば働きやすくなりそうか、考えてみてくださいね。

職場での合理的配慮の具体例

それでは早速、合理的配慮の具体例を見てみましょう。

イメージが湧きやすいように、具体的な例を挙げてみますよ〜!

【合理的配慮の具体例】

▼下肢障害で、混雑した電車に苦手意識がある人
・混雑時間帯を避けられるよう、時差出勤とする
・週に数日は在宅勤務とする

▼聴覚障害で、口話でのコミュニケーションが難しい人
・チャットやメール、筆談など、文書中心のコミュニケーションとする
・会議の参加は免除とし、議事録を作成して個別で説明する

▼ADHDで、ケアレスミスが多く、優先順位付けが苦手な人
・書類は提出前に他のメンバーがWチェックする
・優先順位がわからなくなった時に、誰かに相談できる環境を準備する

▼不安障害で、緊張感や不安感が強い人
・職場の座席を人通りの少ない一番端にし、パーテーションを用意する
・人前でのプレゼンテーションは免除とする

▼ASDで、感覚過敏や過集中の傾向がある人
・業務中はイヤフォンや耳栓の利用を許可する
・過集中による疲労を防ぐため、2時間に1回、10分ほど休憩する

いずれも、その人自身の障害特性を踏まえて、「どうすれば仕事がしやすくなるか」という観点から考えられた配慮です。

もちろん、担当する業務や職場の環境によっては、100%希望が叶わないことはあります。例えばパーテーションの設置を希望していたとしても、オフィスのスペース上、どうしても物理的に設置が難しい、といったケースです。また、いくら在宅勤務を希望していても、仕事を覚えて1人でも業務ができるようになるまでは、出社が必要になることもあります。

その場合、入社前に企業側としっかり話し合い、どうすれば働きやすくなりそうか、一緒にすり合わせていくことになります。

合理的配慮とわがままの違いは?

それでは反対に、合理的配慮とは言えない「わがまま」とはどのようなものでしょうか?

例えば先ほど合理的配慮の具体例で挙げた、「ケアレスミスが多く、優先順位づけが苦手なADHDの人」を例に挙げて考えてみましょう。

▼ADHDで、ケアレスミスが多く、優先順位付けが苦手な人

【わがままの例】
・ケアレスミスが多いが、大目に見てほしい
・優先順位づけが苦手なので、一つの作業が終わるまで声をかけないでほしい

【合理的配慮の例】
・書類は提出前に他のメンバーがWチェックする
・優先順位がわからなくなった時に、誰かに相談できる環境を準備する

どうでしょうか。簡単に言うと、

わがまま=自分の都合だけを考えた要望
合理的配慮=業務の遂行のために必要な要望

ということなのです。

職場における合理的配慮とは、自分本位な「障害特性なので全て許してほしい」というものではなく、「業務をスムーズに進めるため、働く上での困難さを取り除く」ものだと考えてみると、わかりやすくなるかと思います。

必要な合理的配慮は、人それぞれです。特に就業経験が少ない人の場合、職場でどんな困り事が出てきそうか、想像できないこともあると思います。そんな時には、ぜひ担当のキャリアアドバイザーや支援員の方に、必要な合理的に配慮についても相談してみると良いでしょう。かかりつけの医師に相談してみるのも一つですよ。

合理的配慮に対応している企業の割合は

2019年に障害者職業センターが実施した調査によると、合理的配慮について認識している企業のうち、約80%は何らかの対応を行なっています。

これだけ聞くと、「なんだ、また対応してくれない企業もたくさんあるのか」と思われるかもしれません。

しかし、合理的配慮について定めている障害者差別解消法が施行されたのは、実は2016年と比較的最近です。

また、これまで「合理的配慮の提供」は努力義務とされていましたが、改正法により2024年4月1日からは、更に一歩進んだ「義務化」が実施されます。合理的配慮について対応している企業は、現在ではもっと多くなっており、今後ますます増えていくと考えて良いでしょう。

合理的配慮実施のためのステップ

次に、実際に企業に合理的配慮を求める場合のステップについてもご紹介します。企業とのすり合わせは入社前に必ず実施し、入社後に「思っていた配慮が受けられなかった」ということがないようにしてくださいね。

①採用時に本人から申し出る

合理的配慮については、面接でも希望を聞かれることが多いですが、どのような合理的配慮を必要としているか、自分からも必ず申し出るようにしましょう。

人それぞれ、希望する配慮の内容は異なりますし、どんなことで働きづらさを感じているか、周囲から見るとなかなか想像ができなかったり、わからないこともあります。「これぐらい言わなくてもわかってもらえるだろう」と自分で判断せず、ご自身の障害特性に合わせた内容をしっかりと伝えるようにしましょう。

面接の場で「企業側から障害についての質問が全くなかった」ということは殆どないかと思いますが、万一そうなった場合、面接後にキャリアアドバイザーや支援員に相談しておくと良いですね。

配慮希望事項については履歴書や職務経歴書に記載するか、あるいは別紙にまとめておくなど、書面に残して提出しておくと安心ですよ。

②配慮内容について話し合う

次に、希望する配慮事項について、企業側と話し合います。

配慮希望事項の中には、担当する業務や職場の環境によって、どうしても実現が難しい内容もあるかもしれません。その場合、企業側から可能な範囲での配慮案を提示してもらい、双方が納得できるまで話し合うようにしましょう。

転職エージェントや就労移行支援を利用している場合、企業との話し合いの場に、エージェントの担当者や支援員が同席してくれる場合もあります。ご自身でうまく伝えられるか心配な場合には、入社前にまずはキャリアアドバイザーや支援員に相談してみると良いでしょう。

③合理的配慮について確定し、実施する

②の話し合いの上、合理的配慮事項が確定したら、その内容について、直属の上司や同僚に共有してもらうと良いでしょう。この時、障害の内容や合理的配慮事項について、誰にどこまで伝えるかも明確にしておくと安心です。

外見上は分かりにくい障害の場合、障害があることを周囲に開示していないこともあるかと思います。その場合、企業側にはプライバシーにも配慮して欲しいですよね。障害について周囲に開示したくない場合にも、希望をしっかりと伝えておきましょう。

また、働く上で何か困ったことがあった際の相談窓口も明確にしておくと安心です。

④定期的に配慮を見直し、改善する

合理的配慮の内容は、定期的に見直したり、更新したりしてもらうことが可能です。

しっかり話し合い、双方で合理的配慮の内容を決めた場合でも、実際に業務を開始してみるとうまくいかないケースも0ではありません。また、体調の変化により、必要な配慮の内容が変わってくる可能性もあります。

その場合、すぐに諦めて退職を考えるのではなく、社内の相談窓口や上司とも話し合い、その時必要な配慮を受けられるように話し合うことが大切です。

企業側も、せっかくご縁があって採用した人には、できるだけ長く安定して勤務して欲しいと考えているものです。できれば定期的に、配慮の見直しのための面談などがあると安心です。こちらも入社前に実施の約束をしておくと良いでしょう。

まとめ

ここまで、障害者雇用における合理的配慮についてご紹介しました。

合理的配慮は、障害特性によって生じる「働く上での困難さ」をできる限り取り除くためのものです。しっかりと希望を企業に伝え、働きやすい環境を整備できると良いですね。

繰り返しになりますが、転職エージェントや就労移行支援サービスはこういった場面でも相談に乗ってくれます。ぜひサービスをうまく活用しながら、企業側とのすり合わせを実施してみてくださいね。

Follow me!

プロフィール
この記事を書いた人

人材業界で約10年勤務し、直近3年は障害者雇用の専任キャリアアドバイザーとして、20代から60代、ローキャリアからハイキャリアまで数多くの求職者の方のお手伝いをしてきました。

初めての障害者雇用、初めての転職で悩んでいる方向けに、できる限りの情報をお届けしていきます!

お問い合わせ

くまくんをフォローする
障害者雇用のQ&A
スポンサーリンク
PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました