先日は、障害者雇用のメリットとデメリットについてご紹介しました。
障害者雇用にも一般雇用にも、それぞれのメリット、デメリットがあり、どちらが向いているかはあなたの体調やこれまでの経験、希望など、様々な条件を考慮して検討する必要があります。
そこで今回は、障害者雇用に向いている人、一般雇用に向いている人、それぞれの傾向について解説します。
✔️この記事でわかること
・障害者雇用に向いているのはどんな人?
・一般雇用に向いているのはどんな人?
・障害者雇用と一般雇用、どちらも検討するのはアリ?
キャリアアドバイザー歴10年のくまくんがガイドします!
障害者雇用に向いている人
✔️体調に不安があり、配慮を受けながら勤務したい人
✔️一般雇用で短期離職を繰り返している人
✔️これから初めて事務系職種に挑戦したい人
✔️大都市圏に出やすい人
✔️一部上場企業など、大企業で働きたい人
体調に不安があり、配慮を受けながら安定勤務したい人
障害者雇用の場合、合理的配慮を受けながら勤務することができます。
合理的配慮というのは、簡単に言うと「仕事をスムーズに進めるため、働く上での困難さを取り除く」ための、職場における配慮のことです。
合理的配慮って何?という方は、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
障害者雇用の場合、合理的配慮の提供は企業側の義務です。一般雇用の場合、合理的配慮の提供は義務付けられているわけではないので、何か配慮して欲しいことがあっても、対応してもらえるかどうかはその職場次第となります。
体調面に何らかの不安を抱えている人であれば、症状や障害特性に合わせた配慮を受けられる障害者雇用だと、安心して勤務できる可能性が高いでしょう。
一般雇用で短期離職を繰り返している人
これまで一般雇用で短期離職を繰り返している人にも、障害者雇用がお勧めです。
働きやすい障害者雇用のポジションであれば、じっくり経験を積んで、次の転職に活かせるキャリアを築ける可能性が高まるからです。
こちらの記事でも触れた通り、障害を非開示にして入社した場合と比較すると、障害者雇用で勤務した場合の定着率は倍以上にもなります。
つまり「障害者雇用の方が、一般雇用と比較すると長く勤務できるケース可能性が高い」ということです。
1年後の定着率 | |
障害者求人 | 70.4% |
一般求人(障害開示) | 49.9% |
一般求人(障害非開示) | 30.8% |
一般的に、企業側は一つの企業で長く安定して勤務している人を高く評価します。
無理をしながら一般雇用での勤務を続けると、体調不安について職場の理解を得られなかったり、障害のことを隠すことに疲れてしまい、更に短期離職を繰り返してしまう可能性があります。
これまで職場を転々としている人ほど、まずは安定勤務しやすい障害者雇用で長く働くことを目指してみると、先々の選択肢が広がるでしょう。
これから初めて事務系職種に挑戦したい人
キャリアチェンジは、一般雇用であっても障害者雇用であっても、簡単ではありません。
しかし、例えば接客業から事務系職種にキャリアチェンジしたい…と考えた時、一般雇用よりは障害者雇用の方が、「未経験でも応募可能」という求人に出会える可能性は高くなるでしょう。
この場合、最低限のパソコンスキルは必須です。障害者雇用だからと言って、全くスキルがない状態から職場で教えてもらえるわけではないので、WordやExcelの基礎知識を身につけた上で応募しましょう。
くまくんも、これまで接客や清掃の仕事をしていた方のキャリアチェンジをたくさんお手伝いしてきました。初めての職種に挑戦する場合、学習意欲や向上心が重要です!
大都市圏に出やすい人
障害者雇用の求人は、首都圏や大阪、名古屋など、都市部に集中している傾向があります。
というのも、障害者雇用には法定雇用率が定められており、大企業ほど障害者雇用枠で多くの人を採用する必要があるからです。
必然的に、大企業が集まる都市部ほど求人も多くなるのです。
そのため、大都市圏に出やすい人、あるいは大都市圏に転居できる人の場合、たくさんの求人に出会える可能性があります。
そうは言っても、地方に住んでいても障害者雇用で仕事を探したいんですが…どうしたら良いんですか?
地方都市在住であってもやはり障害者雇用にこだわって探したい!という人には、なるべく複数の転職エージェントに登録し、ハローワークも利用して、少しでも出会える求人の数を増やすことをお勧めします。
またその場合も、まずはアットジーピー【atGP】やdodaチャレンジなど、大手の転職エージェントを利用すると良いでしょう。タイミングによって、大企業の地方支社で募集が出ることもありますよ。
地方都市は求人が少ないので、一つ一つの応募を大切にする方が良いでしょう。キャリアアドバイザーや支援員にもしっかり相談し、事前によく対策を練ってくださいね。
一部上場企業など、大企業で働きたい人
「大都市圏に出やすい人」の項目でご紹介した通り、大企業ほど障害者雇用を積極的に進めている傾向があります。大手の転職エージェントが保有している求人も、その大半は大企業のものです。
一般雇用では採用ハードルが非常に高い企業であっても、障害者雇用の場合、一般雇用と比較すると条件を緩和して募集をかけているケースがあります。もちろんその場合も、入社後の福利厚生制度などは、一般雇用の場合と同様の条件という企業が殆どです。
そのため、大企業で安定して勤務したいという人にとっては、障害者雇用の方が選択肢が広がる可能性があります。
一般雇用に向いている人
✔️体調不安がなく、特別な配慮を必要としない人
✔️一般雇用で問題なく継続勤務できている人
✔️勤務地にこだわりがある、大都市圏に出づらい人
体調不安がなく、特別な配慮を必要としない人
障害者手帳を持っていても、特別な配慮なく安定して勤務を継続できている人の場合、あえて障害者雇用で転職する必要はないでしょう。
定期的な通院の必要がある人でも、有給が取りやすかったり、フレックス勤務が認められているような職場であれば、それほど周囲に気を遣うことなく勤務を継続できるケースが多いようです。
一般雇用で問題なく継続勤務できている人
これまで一般雇用で勤務継続ができている人も、敢えて障害者雇用で勤務する必要はないことが多いでしょう。
とは言え、将来的な体調に不安があるので今のうちに転職しておきたい、障害者雇用ならではの大企業求人が気になるなど、何か具体的な理由がある場合には、障害者雇用を検討してみるのも一つです。
勤務地にこだわりがある、大都市圏に出づらい人
前述の通り障害者雇用の求人は都市部に集中する傾向があるため、地方都市での就職を目指す人にとっては、一般雇用の方が選択肢が広がるでしょう。
一般雇用で求人を探す場合、マイナビ転職やdoda、リクナビNEXTなど、まずは主要なエージェントに登録してみると良いですよ。
また、地元密着型の企業の求人に強いのはやはりハローワークです。地方都市で転職活動をする場合、転職エージェントだけでなく、色々な手段で求人を探してみてくださいね。
障害者雇用と一般雇用、どちらも検討するのはアリ?
並行して検討するのはアリ!
結論から言うと、「アリ」です!障害者雇用と一般雇用を同時に検討しても、もちろん大丈夫です。
職場に求める環境や条件は、人によって違うものです。
一般雇用であってもフレキシブルに働けて、体調の心配をしなくても良い企業と出会えることもあれば、面接を進める中で、障害者雇用ならではの安心感に気づくこともあるでしょう。
それぞれにメリットやデメリットがあるので、転職活動をしながら自分にとって何が大切かをよく考え、比較検討して希望の企業を絞り込んでいくのも良いですね。
障害者雇用と一般雇用、並行して探すときに注意すべきこと
これは障害者雇用で複数エージェントを利用するときと同じですが、様々な手段で転職活動をしていることを、それぞれの転職エージェントのキャリアアドバイザーや支援員に事前に伝えておくことが大切です。
なぜなら、複数の転職エージェントを利用して転職活動をしていると、選考が進むほど、同じ日に面接がバッティングしてスケジュール調整が発生する可能性があるからです。
「他のエージェントにも登録しています」「一般雇用でも探しています」と伝えるのを申し訳なく思う人もいるかもしれませんが、殆どの求職者は複数エージェントを利用していますので、気にする必要はありません。
例えばスーパーで食材や日用品を買う時、同じものを購入する場合でも、複数の店舗で見比べて購入することがありますよね。別の店舗に行って、思いもよらぬ掘り出し物が見つかることもあります。転職エージェントを複数利用するのも、それと同じようなものだと考えましょう!
また、他の転職エージェントを利用している場合、キャリアアドバイザーから「他社さんからはどこを紹介されていますか?」「どこを受ける予定ですか?」などと質問をすることがあります。
これは何か悪い意図があるわけではなく、他の転職エージェントからの紹介企業や応募企業を聞いてあなたの希望や指向を探ろうとしたり、それ以外に提案できる求人がないか考えるための質問です。
選考中の企業を隠しても特にメリットはないので、正直に答えておくほうが、紹介される求人の精度が上がる可能性が高いですよ。
まとめ
今回は、障害者雇用に向いている人、一般雇用に向いている人の解説をしました。
様々なポイントがありますが、一番大きいのは「合理的配慮が必要か?」という観点です。体調に不安がある人には、合理的配慮が受けられる障害者雇用をお勧めします!
あなたはどちらに当てはまったでしょうか?ぜひ考えてみてくださいね。